曽爾高原のススキ
はじめに
曽爾高原は全国でも有数のススキの名勝となっています。なぜ、曽爾高原がススキの名勝となったのでしょうか。
自然環境や人々のくらしとの関わりから紹介します。
内容
《 曽爾のススキ物語 》
1 ススキを知ろう
曽爾高原に広がるススキは、イネ科の多年草で、別名を |
2.ススキがなぜ曽爾で必要だったのか
昔、曽爾ではススキは家の屋根や炭俵(炭を詰める俵)の材料に使われていました。
山に囲まれている曽爾村では、交通事情も悪かったことから、屋根瓦が手に入りにくかったため、
村の屋根はススキや杉の皮でした。
家一軒の屋根を覆うためにたくさんのススキが必要なため、大勢の人の協力が必要でした。
そのため、村人は共同でススキの刈り取り作業をした後、古い屋根をはがして新しい屋根を作るた
めそれぞれ1日中手伝いをしました。
今は、交通も便利になり、村の屋根は瓦かトタンに変わりました。
このように、屋根の材料として使用が減り、杉などの植林が進められた時期もありましたが、
村ではこのすばらしい風景を守るために、奈良県に働きかけて保護してもらうことになりました。
現在の曽爾高原のススキは、世界遺産の白川郷・五箇山の合掌造り集落を始めとした全国に
あるかやぶき屋根(ススキを材料とした屋根)の材料に使われています。
3.曽爾高原の四季(ススキの春夏秋冬)
~曽爾高原の自然を守るために~
◇ ススキの「春」
曽爾高原では、毎年3月下旬から4月の初旬にかけて、山焼き |
◇ ススキの「夏」
初夏(5月の中頃)になると、曽爾高原のススキは若葉を出し、 |
◇ ススキの「秋」
収穫の秋。曽爾高原が、ススキ色に輝く、一年で最も美しいと |
◇ ススキの「冬」
12月、近畿で一足早い冬を迎える頃、地元の方々による、スス |
4.クイズコーナー 「これであなたも 曽爾のススキ博士だ!!」
Q1 曽爾高原の広さって、どれくらいだと思いますか。
ヒント! 兵庫県西宮市にある「阪神甲子園球場が何個分になるかで考えてみよう!」
Q2 ススキの刈り取りは、なぜ冬の時期に行われるのでしょうか。
ヒント! 秋を終えると、草はどうなってしまうのだろう。
お米がなる稲はどうなっているかな・・・???
Q3 ススキに似た仲間で「荻(オギ)」という植物があります。ススキと荻の違いとは
何でしょうか。
ヒント! 生えている場所を考えてみよう。
Q4 曽爾の大自然を守るために、地元の方々が一番の悩みだと考えていることは
何でしょうか。
ヒント! 森を守る人々のくらしにも共通していることなんだよ。
5.曽爾高原に来て学習しよう!!! 「大自然に触れてみよう」
(1) まず!事前準備 ② 道具を準備しよう(日帰りパターン) |
(2) 観察してみよう。
実際に曽爾高原をハイキングして、ススキを観察し気づいたことや疑問点をまとめ意見交換
してみよう。
◆例:自然条件:「ススキ」の生える条件について、図鑑などの資料を用いて調べてみよう。
(3) 思い出をたくさん持ち帰ろう。
曽爾高原は、もちろんススキで有名ですが、ススキ以外にもたくさんの植物や、ウサギやリス
などの小動物や野生の鹿を見ることができます。また、森を散策し耳を澄ましていると、小鳥
のさえずりや小川のせせらぎなど、自然ならではのサウンドに触れることができますよ。
他にも、屏風岩や兜(かぶと)岳・鎧(よろい)岳といった、この地域ならではの景観を目にするこ
とができます。
是非、余裕のある計画のもと、自然の満喫にチャレンジしてください!!
(4) 曽爾の人々はススキの生育(曽爾高原を守るため)にどのように関わってきたのかまとめよう。
事前に学習したことや、実際に訪れて観察したこと、気づいたこと、見つけたことなど、振り
返って見ましょう。
雄大な自然を守る人々の苦労とその伝統について、学習を進めていきましょう。
6.クイズの答え
Q1の答え
なんと!甲子園球状の約9個分です。
曽爾高原の面積(ススキが生えている範囲の面積)は、約36.5万㎡で、甲子園球場の
約9個分の広さと同じだといわれています。
Q2の答え
村の人が言うには、ススキの茎が青くて、水分が残っていては、屋根の材料としては
腐ったりして良くないそうです。
完全にススキが枯れ、乾燥した冬の時期の良いお天気の日を刈り取りの日として選ん
でいます。
Q3の答え
ススキは、乾いたところを好んで生息するのに比べ、荻は河岸のような湿ったところ
に生息します。
荻もイネ科の多年草で、大きいのは2m以上に成長します。外見もススキそっくりな
ので、かなり見極めにくいものです。
Q4の答え
地元の方々の悩みは、年々村の若い人が少なくなって、ススキの世話をする人が少な
くなってきているということです。
春先の山焼きに始まり、夏の草刈りや肥料やりなど、一年を通して、ススキのお世話
をするのは大変な作業なのです。
曽爾の大自然を残していくためにも、私たちにできることって何なのか?みんなで考え
たいものです。
おわりに
曽爾高原のススキについて学習してきましたが、いかがでしたか。
ススキは、日本全国のどこにでも生息していますので、是非、「ススキ博士」目指して、
観察してみよう!
そして、曽爾高原に足を伸ばして、ススキに包まれてみてください。
日帰りで来るのもよし、せっかくだから宿泊をして、徹底的に曽爾高原漬けになってみる
のもいいのでは!
どちらの場合も、曽爾高原内にある、私たち 「国立曽爾青少年自然の家」をご利用ください。
曽爾高原探索の「お手伝い」、ぜひおまかせください!!!
情報提供 2011年 9月作成 |