歩くスキーで見つける動物

冬の森にとびだそう

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歩くスキー

冬の森は、動物に出会える絶好のチャンスです。なぜならば、雪が藪や沢を覆い、夏には入りにくい場所にもスムーズに入っていけます。周りの木々は落葉し、見晴らしもよくなります。また、山の食べ物が減るため、動物たちは食べ物を求めてふもとに下りてくるからです。
冬の森に入るには、歩くスキーやスノーシュー(かんじき)などを使用する事が効果的です。歩くスキーやスノーシューは、ゲレンデのスキー(アルペンスキー)とは異なり、かかとが浮くため大変歩きやすい構造になっています。また、雪に対する圧力が減り、雪に沈まなくなります。そのため、少ない労力で歩くことができるからです。

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スノーシュー

感覚をとぎすまそう

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動物を探すには、感覚をとぎすまし、上下左右、前後とあらゆる方向に注意してみましょう。そのときのアンテナになるのが耳や目です。冬の森はとても静かなため、鳴き声、羽ばたきの音、雪を踏みしめる音、葉の揺れる音などいろいろな音が聞こえてきます。また、周りの小さな動きを見逃さないように、一点に集中するのではなく、ぼ~っと幅広く見ることです。そして、音や動きを感じたら、その方向に集中して、肉眼や双眼鏡で探していきます。動物との出会いは、一瞬の勝負です。その一瞬をどうとらえるかがポイントなのです。
動物が残した跡から探す方法もあります。動物たちが食べ物を食べた跡(食痕)や雪の上の足跡や糞などが発見できます。その跡から、どのような行動をして、どちらに行ったのかを見極めることも発見につながります。

樹上や空中で見られる動物

森の中で耳を澄ませていると、「ツツピー」「ツピッ」など小さな鳥の声がきこえてきます。これは、シジュウカラやコガラなどカラ類です。カラ類は、多種との混群をつくり、木から木へと移動していきます。また、この群れの中に、エナガやキクイタダキ(日本最小の鳥)が混ざっていることもあります。この混群に出会えれば、一度に多くの鳥を見ることができます。

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クマゲラ

キツツキが木をたたいている音(ドラミング)が聞こえてくることがあります。アカゲラやクマゲラです。クマゲラは、日本最大のキツツキで大きさはカラスほどです。天然記念物に指定されていますが、十勝岳周辺は、日本有数の生息地となっています。クマゲラは、エサをとるため、縦長に木に穴をあけます。食痕の周辺で待っていると出会えるかもしれません。 

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エゾリス

少々黒っぽい灰色で自分の体より大きいふさふさした尾をもたげているエゾリスの姿を見ることができます。大きさは、約25cmほどだが、尾の長さは20cmにもなります。樹上での生活が多いのですが、地上におり、雪の中にもぐってドングリなどを拾い出したりします。両手でエサを持ち、立ち上がっているその愛嬌の良さに一瞬立ち止まってしまいます。

地上で見られる動物

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エゾシカ

冬の森での出会いで感動的なのは、エゾシカとの遭遇です。厳しい北海道の冬をわずかに笹や木の芽・皮などを食べて生きながらえています。また、雄は単独で行動しますが、雌は群れで行動しています。雌の群れには、子ジカも混ざっており、出会ったときには、立ち止まって見入ってしまいます。

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キタキツネ

頻繁に出会うことができるのが、キタキツネです。大きさは頭胴長約75cm、尾は40cmほどで太く長い。夏毛では体がとても細く見えますが、冬毛ではふさふさした淡い茶褐色の毛で覆われています。その姿は美しく、私たちを楽しませてくれます。

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エゾナキウサギ

エゾナキウサギは日本では唯一北海道に生息しているナキウサギです。ハムスターほどの大きさで全身が茶褐色の毛で覆われ、耳が小さくなっているため、一見ネズミに見えますが紛れもなくウサギの仲間なのです。4回にわたる氷河期を生き抜いたため、「生きた化石」と呼ばれています。寒さに強く、冬眠はしません。そのため、冬になる前に植物の茎や花、葉を乾燥させてガレ場に作った巣に保存しています。冬場はあまり巣から出てきませんが、他の巣穴へ移動するときに出会うことができます。

その他にはエゾユキウサギ、エゾタヌキ、エゾクロテン、ミヤマカケスなどに出会えます。また、冬の出会いはほとんどありませんがエゾヒグマも生息しています。

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エゾユキウサギ

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エゾクロテン

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エゾヒグマ

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ミヤマカケス

大雪青少年交流の家の周りには、大雪原や北海道有数の豊かな森林が広がっており、動物に出会うための絶好の場所です。スノーシューや歩くスキーの貸出もしておりますので、ぜひ一度、おいでください。みなさんのお越しをお待ちしております。

写真引用 十勝岳連峰の自然と野外活動 国立大雪青年の家著 (株)須田製版発行

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    歩くスキーで見つける動物(PDF/217KB)

情報提供

国立大雪青少年交流の家

2003年作成

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