鹿の生態

はじめに

 奈良県といえば奈良公園の鹿が有名です。古くから神の使いとして大切に保護されてきました。現在も、約1200頭の野生の鹿が生息しており天然記念物にも指定されています。ここ曽爾高原にも野生の鹿が数多く生息しています。それは、曽爾高原周辺が自然豊かな場所である証でもあります。その鹿も近年、数が増え続け農作物や森林に被害をもたらすなど、人々の生活を脅かす存在にもなってきました。ここでは、鹿の生態や人々の生活との関わりについても紹介します。

内容

鹿を探しに出かける準備

 ・ 長袖の服 ・ 長ズボン ・ 帽子 ・ 水筒 ・ 懐中電灯 ・ リュックサック
 ・ デジタルカメラ
 ※ メモ帳、筆記用具などを持って行くと便利だよ!
 

1.豆知識~日本の鹿について~

 日本国内に生息しているニホンジカは、ホンシュウジカやエゾジカなど7種類とされています。一般に、北に住む鹿ほど体が大きく北海道のエゾジカが約140㎏であるのに対して、南西諸島のケラマジカでは約30㎏です。鹿は太古の昔から人間の食用とされてきました。また、鹿は秋を表現する和歌などに詠まれた季語でもあり、花札などにも紅葉とともに描かれています。したがって、鹿肉も「もみじ」と呼ばれています。
 日本国内に生息するニホンジカの種類について、詳しくは調べてみましょう。

2.曽爾高原の鹿について調べてみましょう

Q1 どうすれば鹿に会えるのかな?
  ヒント:鹿が住んでいる所には何かが残っているはず。
      下の2枚の写真がヒントだよ。

 

鹿の生態1

  鹿の生態2

 Q2 その場所に1日のうちいつ頃行けばいいのかな?
  ヒント:曽爾高原の鹿は昼にはあまり見かけません。
    
Q3 鹿は何をたべているのかな?
  ヒント:ライオンやトラのように肉食ではありません。

Q4  鹿の数を数える良い方法はあるのかな?
  ヒント:鹿の目は光ることでも有名です。 
 

3.右の写真を参考にして、鹿と人々の暮らしについて考えてみましょう  

 鹿の生態3

Q5 右の写真に写っているものは何でしょう? 
  ヒント:何か網のようなものです。

Q6 なぜ、このようなものが必要なのでしょう
       か?
  ヒント:網の向こうには何があるのかな?

Q7 対応策について考えてみましょう。
  ヒント:「曽爾村鳥獣防止計画」などを参考
                にしてみましょう。

 4.答えは・・・

鹿の生態4

鹿の生態5

Q1:鹿の糞や足跡を探してみよう。鹿の通り道はほぼ決まっていて、同じ場所に現れることが多いんだ。

Q2:昼に見かけることもあるけれど、鹿は静かな夜に現れることが多いんだ。だから、ナイトハイクな
     どで鹿を探すといいんだよ。また、鹿は秋に繁殖期を迎えるため、普段は警戒心の強い雄鹿を見か
     けるようになるし、広葉樹の葉が落ちて見通しが良くなるため、鹿を発見しやすくなるからチャン
     スだよ。

Q3:鹿は草食動物だから、草や木の新芽などを食べているんだ。

Q4:昼は鹿を簡単に数えられるけど、夜は見づらいから気配がすると懐中電灯で照らしたり、カメラの
     フラッシュをたいたりすると鹿の目が光るからそれを数えれば何頭いるかがわかるんだよ。

Q5:防護柵といって動物の侵入を防ぐためのものなんだ。対象となるのは主に鹿やイノシシだよ。

Q6:網の向こうには水田が広がっています。畑などの周囲にも作られることが多いんだ。それは、鹿な
     どが農作物を食べるために水田や畑に侵入するのを防ぐためなんだ。

Q7:曽爾村を始め多くの市町村が鹿などの動物の被害で困っています。曽爾村の場合は「曽爾村鳥獣防
     止計画」をつくって、対策を考えているんだ。それによると、捕獲数を増やしたり、侵入防止柵を
     さらに増やしたりすることなどの対策が書かれているんだ。

おわりに

 曽爾高原では野生の鹿を多く見かけます。元来鹿は、人里から離れた山中で生活していましたが、近年の異常気象等によりエサが少なくなり人里近くに多く現れるようになってきました。加えて、1970年代までに大規模な森林伐採と植林が実施され、苗木も含めた鹿のエサが増え、頭数も平行して増えました。また、鹿には特に天敵が少ないことや、国が密猟の取り締まりを徹底したこと、狩猟者人口が減少したことも鹿の増加に拍車をかけました。その結果、農作物にまで被害が及び侵入防止柵が作られるようになってきました。国立曽爾青少年自然の家では、多くの利用者がハイキングやナイトハイクで植物や動物の観察を行っています。特に鹿は夜に見かけることが多いので、ナイトハイクで鹿を探索してはどうでしょうか。

情報提供

国立曽爾青少年自然の家

2011年 9月作成

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