こどもたちと安全をうみだす!
はじめに
子どもたちを連れて自然の中へ遊びに出かけるドキドキしたことありませんか?
怪我しないかな?どこか行ってしまわないかなあ?と・・・。
アウトドアでもどこでも、「安全」にすごしたいですよね。
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今回は、子ども会などの引率者向けに、子どもたちと信頼関係を築きながら「安全」を生み出すアクティビティを紹介します。
内容
Vサイン
言いたいことを静かに聴いてもらうのに困ったことありませんか?聴きもれで、事故・・・なんてことがあっては大変です。マザーアースエデュケーションの松木正さんから教わったこどもたちの「聴く」力を養うアクティビティ。活動のはじめに行っておけば、「聴く力」を育てるのにとっても効果的で、簡単なアクティビティです!
1 Vサインをメンバーに見せる
「このサインは、何に見える?」とたずねる。 |
2 Vサインをメンバーに見せる
「このサインは、ネイティブアメリカンが狩りをするときに獲物に気づかれないように、仲間に獲物がいることを伝えるときに使っていたサインだよ。うさぎや鹿の耳を意味するんだよ。」
3 ルールを説明する
「このVサインが出たら、うさぎや鹿の耳のように、よく耳をとぎすまして話を聴いてね。みんなにとって大切な情報があると思って、耳をとぎすましてね。」と説明する。
4 練習をする
「Vサインがでたら、さっと静けさを生み出してね。」と言ってから、「うるさい状況をつくろう!」と言って、みんなに一斉に大きな声を出してもらう。そして、リーダーがVサインをだし、メンバーにさっと静けさを生み出してもらう。
「気づいていない人には、Vサインで教えてあげてね」と語りかけるように伝えましょう。
5 「いつなんどきVサインが出るかわからないよ」と言って、活動中、効果的に使いましょう!
「静かに!」と大きな声で注意=『怒られた』という感情が残ります。そうならないように自分たちで静かな状況を生み出す練習です。「規範作り」とも言います。 |
クイックチェック
これは簡単に自分や仲間の心と体の健康についてチェックすることができます。
1 親指を立てた(GOOD!のサイン)サインを見せる
自分のこころとからだにたずねて、「今・ここ」のサインを出してもらう。 「上向きだと心も体も元気!」 |
2 「せーの」でいっせいに1のサインを出してらう
周りを見回しましょう。
いつもより自分や仲間の心と体にアンテナをはろう!(目を向けさせる、むけてもらう)
毎日どこかでメンバーにきいてみるのもいいですね。「今・ここで」人の心や体は違いますよね。このクイックチェックは、メンバーが心や体について気づこうとする「意識」を芽生えさせます。また、周りの人に関心を向けることにもつながります。 |
ネイティブアメリカンのサインゲーム
登山中、リーダーより先に先に歩いてしまったり、興味関心のままにどこかへ行ってしまい
「迷子」になるメンバーっていませんか?
いつのまにか迷子になって、その子が怪我していたら・・・いやですよね。
Vサインと同様・松木正さんから教わった遊びを通して子どもたちと信頼関係を築くアクティビティです。
楽しく「点呼」をとる規範にもなります。オリエンテーリングや登山の前などにこのゲームを行っておくとグループのメンバーがリーダー(団体の指導者や引率者)に関心を向けているので、勝手にどこかに行ってしまうってことが防げます。
1 2つのサインを覚える
まず2つのサインを説明します。
- アパッチ・・・
10秒以内にリーダーの周辺から隠れます。
リーダーは、見渡して、みつけたらそのこの名前を呼びます。
呼ばれた子は、リーダーの方に近づきます。 - イロコイ・・・
10秒以内にリーダーの背中にタッチします。
そのサインをリーダーが大きな声で叫びサインに応じた動きを子どもたちにしてもらいます。
2 2つのサインでやってみる
「アパッチ」と「イロコイ」を繋げてやってみましょう。子どもたちがはしゃいで喜びます。
※ 「アパッチ!!」 →グループメンバーが隠れます。 |
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※ 「イロコイ!!」 |
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※ すぐさま 「アパッチ!!」 こどもたちにやると・・・・ |
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※ あら、くぁいい・・・・、かわいいね。 | ![]() |
3 3つ目のサインを追加する
先の2つのサインに慣れたら今度は新しいサインを追加しましょう。
- アバランチ・・・10秒以内に足を土につけない
4 「いつなんどきサインを言うかわからないよ」と言って、活動中、効果的に使いましょう!
※時間があれば、自分たちのグループだけの秘密の言葉をきめるのもグッド!!グループの所属意識が育ちます。子どもたち同士で「秘密の言葉」を使ってもらえるとうれしいです。 |
プロミス~こどもたちと約束しよう!~
安全を生み出すための約束をこどもたちと一緒に考えてみよう。
1 「どんな時に困ったなぁ…と思う?」といくつか困る状況を聞き出す
グループごとで思い思いに書き出してもらう。
イメージが湧かなかったら、けがなどで困ったことはない?心配になったときない?など、これまでの経験を思い出すように言葉を掛ける。
2 こどもたちの中からでてきた「困ったとき」の中からいくつか選んで、その状況で自分ならどうするのかを質問をする(答えを3選択制にする)
例1:友達が怪我して泣いているよ。こんなときどうする?
- まず、先生に言いにいく
- ます、笑い飛ばす
- まず、どうしたの?大丈夫?といって、声をかける
例2:すずめ蜂がきたよ!どうする?
- にぎりつぶす
- 目をつぶって、ゆっくりその場を離れる
- 追いかける
3 グループごとで答えをひとつにしてもらい、答えを発表してもらう
例1の答え:C
何が起きているのか?まず確かめよう!
その後、必要であれば、先生や救急車などに連絡をしよう。
決して、笑い飛ばしたりしないでね!怪我したときは、気持ちが不安でいっぱいだからね!
例2の答え:蜂に出会ったら、B
ゆっくりその場を離れましょう。 蜂だって、自分の家をおそわれたらどうしようと思っている。
だから、偵察隊を送り込んでくる。その偵察隊を手で払ったりしようものなら、仲間を引き連れてくることもあります。だから、絶対大きな声を出さないようにね。
ちなみに,目をつぶるのは蜂にさされるのをふせぐためです。蜂は頭や瞳などの黒い場所を狙って攻撃します。ハチミツを狙ってくるヒトや熊に効果的にダメージを与えるための習性だと言われています。完全に目を閉じると危険なので,目を細めてゆっくり逃げてくださいね。
4 自分の知ってる情報や経験談をメンバーに短くお話しする(2分くらい)
※蜂に刺された体験談を話したり、蜂などの実際の写真や模型など使ってその行動習性についてお話しすると伝わりやすい。子どもたちに「届く」「響く」説明を心がけましょう!
5 5問くらい質問をしたら、困ったときはいつもどうすればいいのかをたずねる
活動の中でトラブルが起きたとき、共通してなければいけない「約束事」をグループごとに3つづつ考え、発表してもらう。
例:「助けて」をちゃんと言おう!
6 みんなで大切にしたいことを言葉にして確認する
例:「では、どこかに行くときは、必ずグループの友達に言おう!」
※ここで気をつけたいのは、おしつけがましく一方的な約束や具体性のない約束 にならないようにすることです。
≪おしつけがましく一方的な約束例≫
強く目を見て、「勝手にどこかに行ってはいけませんよ!」
これじゃあ、萎縮してしまって・・リーダーに怒られるのが怖くて約束を守ることにつながりませんか?本当は、子どもの主体性を育てたいのに・・・・
じゃあ、具体的にどんな言葉が伝わりやすいのでしょうか?
「どこかに行くときは、リーダーに声をかけてね!知らないうちに、○○くんがどこかに行ってしまうと、心配だからね。どこかに行ってしまって、怪我していたら哀しいからね・・・」などと、リーダーの気持ちを正直に伝えることの方がより子どもたちと信頼を築けるのではないでしょうか?
≪おしつけがましく一方的な約束例≫
人に迷惑をかけてはいけませんよ!
迷惑をかけるってどんなこと?かイメージがつかない子もいます。
子どもたちが迷惑をかけるってどんなことか想像する時間を持ってみてください。
『友達に迷惑をかけて自分も困った』という経験から、『これからは迷惑をかけたくない』という思いがあるとすれば、そこから具体的にどうすればよかったのかという「気づき」につながりますから、自分の気づきを意識化し言葉にする「想像」という「体験」を奪わないようにしてあげてほしいものです。
「こうしなさい」という指示は簡単です。大人も葛藤しましょう。
子どもたちを信じて、子どもたち自身から出てきた言葉を用いて約束作りをしましょう。自分たちで作った約束は、責任を持って守ろうとします! |
さいごに・・・
子どもたちの心のサインは、まっすぐで、わかりやすいですよね。
もじもじ体で緊張を表現したり、目や口などの顔の表情で不安や不満を表現したり、子どもの心を翻訳してくれる大人が一人でも二人でも増えれば、自分の気持ちや気づいたことを伝えることができるようになれるでしょう。自分の気持ちを伝えるって、とっても重要なこと。
伝えあえる関係って、とっても心も体も安全で安心ですよね。
関係性が安定していると怪我は、おきにくいんじゃないかなあなんて思います。
こころの怪我もおきないでしょう・・・ぜひ、心のサインをみつめてあげてくださいね。
事故ではなく、「自己」の芽生えにつながりますように・・・
ひとりひとりの「いのち」がかがやきますように・・・
さあ、いのちの輝く自然の中へ遊びにでかけましょう!!
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情報提供 2003年作成 |