安全で楽しい登山のために

はじめに

山

山での代表的な体験活動と言えば、やっぱり登山ですよね! でも、楽しい登山も一歩間違えれば命に関わる危険なものになりかねません。特に子どもたちを引率する集団登山では、引率する先生方はどう進めれば良いのかわからないこともあるかと思います。そこで、集団登山での計画の立て方と進め方について、教えちゃいます。

準備するもの
  ・リーダーとして必要なもの
   地図、コンパス、行動計画、笛、チェックリスト、救急セット、通信機器、非常食 など
 

内容

1.指導者(引率者)として事前にすべきこと

(1)登山計画を綿密に!

まずは登山コースや日程など、登山計画を立てま
しょう。
そのときに重要なのは、下記の要素を考慮してコ
ース選択をすることです。

 ・ 参加者の年齢層や体力に適しているか。
 ・ 人数に合っているか。多ければ多いほど所要
   時間は大きくなります。
 ・ 適切な装備を準備できるか。登山靴など専用
       の装備を揃えられない場合など。

これらの要素をふまえ、コースを定めることが大
切になります。 
 
計画を立てる

(2)団体としての体制づくりをしっかりと


団体として行動する際には、意志決定の手順
を決め、それを全員で共有する必要がありま
す。天候の急変や怪我など不測の事態が起こ
ったときは、速やかな判断が求められます。
現地で右往左往しないようにしっかりと手順
を確認
しておきましょう。同時に、引率者間
の、あるいは登山本隊と待機職員との連絡手
段もしっかり確保
しておくことも大切です。

登山本隊は、隊列や引率者の配置も決めて
おきましょう。
通常は、比較的体力のない参加者を隊列の前
方に置きます。引率者は先頭と最後尾、人数
が多いときは中間にも配置するとよいでしょ
う。

登山の順番

 (3)事前踏査をしましょう


実際に使用するコースの下見をしておくのはと
ても重要です。

特に、引率者は全員が下見をしておくことが大
切です。
また、登りと下りとでは見える景色が違います
ので、必ず当日と同じコースで確認しましょう。

天候の急変や怪我などで急遽戻らなくてはなら
ないときのために、近道(エスケープルート)が
あれば、そこも確認しておきます。

実地踏査の様子

(4)職員や保護者への説明、参加者への事前指導

安全管理は、あらかじめ全員で確認しておきま
す。情報をしっかり共有しておくことが、集団
登山における重要な要素です。

職員間はもちろんのこと、参加者やその保護者
への説明もしっかりしておくことで、トラブルを
未然に防
ぐことができます。

安全の確認

登山では「自分の身は自分で守る」ことが大前
提ですから、参加者自身に安全管理の意識をも
たせられるように、事前指導をしておきましょ
う。
参加者への説明

 (5)その他


当たり前のことかと思いますが、装備の確認
しっかりやっておきましょう。

また、緊急時に慌てないように、警察や地元の
自治体、最寄りの病院などの連絡先も確認して
おきましょう。  

服装のチェック

  

2.登山中の行動におけるポイント 

(1)ペース作りと休憩のタイミングがキモ


ビギナーが多い場合は特に「登山のペース」に
注意を払いましょう。
はじめの30分は「遅すぎるかな?」というくら
いのペースで歩きます。
また、全体の間隔が空きすぎないように歩きま
す。
 
登山の様子


休憩は、5分程度の小休止と、荷物を下ろしてし
っかり休む休憩を使い分けます。


休憩スペースは、可能な限り広い場所を選び、落
石などの危険がないところにしましょう。

休憩の様子
休憩するときのpoint!

 ①急な登りが終わったときや、視界が広がった
      場所等、体や気持ちの面でも一息つける場所
      で休憩を取りましょう。
 ②長休みは避けます。小休止(5分程度)の場合
      は座り込んでしまうと、ついつい長い休憩に
      なってしまうので注意しましょう。
 ③休憩時には、給水や行動食の摂取、必要に応
      じて着替えなど行いましょう。
 ④参加者の確認と健康観察も合わせて行いまし
      ょう。
 ⑤登山は予想以上に筋肉の負担がかかります。
     休憩の3回に1回は10分ほど休んでストレッチ
     をするなどして体をほぐしましょう。
ストレッチをしている様子

(2)水分補給とエネルギー摂取は大事です

登山で重要なのは水分補給です。
とはいっても、山には必ずしも水場があるわけで
はなく、基本的には持参した飲料水が全てです。
脱水症を防ぐため、こまめな水分補給の仕方とし
て、少しずつ口に含ませてから飲むなど効率的な
飲み方を覚えておきましょう。
休憩の際には、行動食を摂取し、エネルギー補給
を心がけましょう。
水分補給の様子

★行動食のススメ
  ・行動食(おやつ)でポピュラーなものは、チョコ・キャンデー・キャラメルでしょうか。
  最近はゼリー飲料も注目されていますね。ここでは実体験に基づき、交流の家の職員が選ん
      だ行動食を紹介します。

①キャンディー
  定番です。好みの味を選んで持っていってください。
  生理学的には、クエン酸、つまりビタミンCを大奥含んだキャンディーを選ぶといいです。
      レモン味のキャンディーにおおいですね。
②ドライフルーツ
  長時間の運動によって、体内のミネラル分は大変に不足します特にカリウムはその後のパフ
      ォーマンスに大きく影響するため、可能な限り補給しなければなりません。
  トライアスロン大会でバナナが重宝されるのは、エネルギー補給というよりも、このカリウ
      ム補給に主眼が置かれています。
      ドライフルーツの中でも特にこのカリウムが豊富な「プルーン」を試してみてください。
③キャラメルやチョコレート
  キャラメルやチョコレートは熱に弱いのが難点ですが、高カロリーなのでエネルギー補給に
      は最適です。
  中には比較的熱に強いタイプもあるので探してみてください。キャラメルはポケットにいく
      つか入れておけば、行動中でも口に入れることができます。
④その他
  チーズやサラミソーセージなど高カロリーのものや、塩分を多く含むものもお勧めです。
   (個人的には「梅干」が好きです)

 (3)登山で考えられるリスクって?

登山に限らず、野外活動にはリスクがつきものです。しかし、どのようなリスクが考えられるの
か、その対策としてどんなことが考えられるのかをしっかり確認しておけば、いざというときに
対応できます。リスクには大きく分けて下記のものがあります。

 ●人為的要因…安全ではない行為の結果として生じるリスク
          (例:疲労による転倒・滑落、悪ふざけによる落石、危険な場所で走り回る、
                                  不十分な装備、判断ミス など)
 ●外的要因…天候、地形、動植物など安全ではない環境から生じるリスク
          (例:ダニやハチ、クマ、ウルシなど危険な動植物、落石や崖崩れ、強風や
                                  落雷など)
 

 (4)こまめな人数確認と、健康状態の把握をしましょう 

長めの休憩の際には、参加者がそろっているか人数確認をしておきましょう。また、体調がすぐ
れない者がいないか健康状態の把握に努めましょう。

3.登山が終わったらすること 

(1)人数確認・健康状態の把握

登山中もそうですが、下山時も必ず人数確認・健康状態の把握を行いましょう。特に、はじめは
あまり気にならなかった怪我も、実は重傷だった、ということに後で気づく例もあります。

 (2)「ヒヤリ・ハット」を洗い出すのを忘れずに!

登山が終わると誰しもほっとして、登山中に感じた危険を忘れがちになります。
重大な事故の裏にはたくさんの「ひやりとした出来事」「ハッとした出来事」があります。
忘れないうちにそういった事例を洗い出し、引率者で共有して次につなげましょう。
細かな登山記録を残しておくことも大切です。

おわりに

登山は自然の中でその雄大な息吹を感じるすばらしい体験活動です。また、仲間と協力し、一体感や達成感を味わうことのできる貴重な体験です。危険だから実施しないのではなく、考えられるリスクにどう向き合っていくかを考え、このすばらしい活動を、より多くの子どもたちに体験してほしいと願っています。
 

情報提供

国立大雪青少年交流の家

2011年 8月作成

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